アーユルヴェーダでは、健康にむけて適正な消化力を保つことを非常に重視しています。
この消化力を表す言葉をアーユルヴェーダでは「アグニ」といいます。
今回は、アーユルヴェーダ的観点から、健康の要である消化力(アグニ)についてお伝えします。
目次
なぜ健康には消化力(アグニ)が重要なのか
消化力(アグニ)の弱さはほとんどの病気の原因!?
アーユルヴェーダでは、「すべての退行性・慢性の病気の80%は、能率的でない消化や吸収、そして代謝が根本原因となっている」と考えられています。
それがまさに消化力(アグニ)が重要な所以。
そのため、健康に過ごすには、まずは消化力を高め、食事からとった栄養をきちんと身体の中に栄養としてとりこみ、毒素や老廃物を排泄でしっかりと出す、この循環をスムーズにしてあげることが重要なのです。
- 少ししか食べてないのにすぐ太ってしまう人
- たくさん食べているのに太れない人
- 冷えが気になる人
- なんとなく調子が悪い、身体が重い
といった症状も、実は消化力の乱れが原因のことが多いんです。
ではどのようにしたら、消化力を上げることができるのでしょうか!?
アーユルヴェーダ的消化力(アグニ)をあげる方法
①白湯を飲む
まずは白湯のすすめ。
1日700~800mlを目安に。内臓を温め、血管やリンパ管、消化管などに溜まった未消化物質(アーマ)を浄化します。朝起きぬけの時だけでなく、お食事中に白湯をすすりながら食べると、消化も促進されるのでおすすめですよ。
②口にするものは常温以上に
冷蔵庫から出したての食べ物、飲み物、氷入りの飲み物などは、びっくりするほど胃腸を冷やします。
消化力の火をさーっと一網打尽に消し去ってしまうイメージ。そして、身体はまた消化力の火をつけるのに相当な時間とパワーを要します。
食事と一緒に氷入りの飲み物を飲んだり、冷蔵庫から出してすぐのものを食べるのは消化力のことを考えると完全にNG。食事の直前直後のアイスなんかも。
自らわざわざ消化力を下げるこれらの行為。極力避けるのがベターです。
あとは、特に普段から冷えが気になる方は、生野菜より温野菜を、温かい汁物など身体を温める食事を心がけましょう。

ジュースも氷なしでね~!
③腹7~8分の食事を
日本のことわざでも「腹八合医者いらず」と言われていますよね。
みんなわかっちゃいるけど出来ないやつです。でもこれが本当に大事。
具体的には、胃のサイズの1/2を固形+1/4をスープなどの液体+1/4を空にしておくと消化がスムーズになります。
洗濯機と同じで、あまり多くの洗濯物をいれすぎると、うまくまわらず汚れも落ちにくいのと同じイメージです。
「だけど、私は(俺は)お腹いっぱい食べたいんだー!!!」という方は、昼食ならOK。
というのも、一日の中でも消化力が一番高いのはお昼だから。消化力の強まる時間帯をうまく有効活用しましょう。
(ちなみに、アグニの強さゆえ、栄養素の吸収がもっとも効率良いのもお昼。だから、お昼におにぎりだけ~サンドイッチだけ~など、軽食で済ませるっていうのは、逆にもったいないです。定食などバランスの良いメニューを。)

スープ類は身体を温め、スムーズな消化を促進するという意味でもおすすめ。
④よく噛んで食べる
一口30回程度が目安。よく噛むことは、それだけで胃腸の消化の負担を減らすことが出来ます。
色々出来ないよっていう方は、よく噛むことだけでも取り組んで!いつもより5回多く噛むという意識でもいいので。
もぐもぐたくさん噛んで胃腸を労わってあげましょう。
⑤消化力(アグニ)を下げる食事を減らす
- 油っこいもの、揚げ物
- 甘すぎるもの(白砂糖たっぷりのものなど)
- 冷たいもの
- 味の濃い食事
- 小麦粉(アーユルヴェーダでは小麦粉は穀物類の中でかなり消化が重いものに属します)
- 刺激物
- アルコールの飲みすぎ
げげっと思った方も多いのでは!?
そう、これって大抵美味しい組み合わせのことが多い。(ビールと唐揚げとか、生クリームたっぷりのアイスクリームとか、バターや砂糖たっぷりの菓子パンとか…)
でも、悲しいかなこれらの食事は消化にとても重く、消化力の働きを下げるものなんですね~。( ;∀;)
消化力を上げるには、消化力を上げる食事をとるのはもちろん、消化力を下げてしまう食事を極力減らすことも大事なので、上記のものを極力沢山とりすぎないように注意しましょう。
⑥調理仕立てのものを食べる
アーユルヴェーダでは、特に調理仕立てのものを食べることを重要視しています。
一つはオージャス(活力素)を増やすということもあるし、調理してから時間がたった食べ物は調理油などがそれだけ酸化するため、消化に重くなってしまうから。
完璧は目指さずとも、極力作り立てを頂くようにしましょう。
⑦運動をする
とにかく運動はアーユルヴェーダにおいてもかなりの万能選手!
というのも、スポーツをする人は、アーユルヴェーダのすべての食事のルールをやぶってもいいよと言われるほどなんです!!
少し息があがる程度の運動をコンスタントに行うのがベストですが、なかなかまとまった時間がとれない場合は、職場まで少し遠回りして歩いたり、家で出来る簡単なストレッチや筋トレ、深呼吸(腹式呼吸)などを取り入れるようにしましょう。
⑧食事に生姜をとりいれる
生姜は消化力を上げるのにとっっても強い味方!
薬味として料理に加えたり、市販のジンジャーパウダーを活用して、スープやお味噌汁、白湯などに加えて飲むなど、積極的にとりいれたい食材です。
また、食前に生のショウガを薄くスライスし、粗塩とレモンを振りかけて食べるのがアーユルヴェーダでは消化力をあげるのに推奨されています。
このレシピだと、消化力をあげるだけではなく、アーマ(未消化物質)の生成を防いでくれるので一石二鳥。
かなり胃腸がすっきりと感じますよ。
⑨応用!トリカトゥをとろう!
トリカトゥとは、黒こしょう・長こしょう・ジンジャーパウダーを1:1:1の割合で混ぜ合わせたもの。
トリカトゥの活用方法は、スープやお肉料理などにこしょう代わりの使用がおすすめです。
白湯に少しいれても良いですし、生蜂蜜にまぜると食べやすくなりますよ。(蜂蜜に混ぜる場合は空腹時にとってください)
食欲がない時、胃がすっきりしない時もトリカトゥはおすすめです。
⑩きちんとお腹が空いてから食事をとる
お腹がぐ~っと鳴ったら、またはゲップをした時に、それが食べ物の香りではなく無臭であれば胃の中が空っぽになったサインだと言われています。
お腹があまり空いていないのに食事や間食をとることは、体内にアーマ(未消化物質)を溜める原因の一つとなります。
これも洗濯を例にすると、まだ現状に洗濯物を洗い終わってもいないのに、次から次へと新しい洗濯物を入れると、汚れが綺麗に落ちない上に、洗濯機もうまく回らず機能しなくなるイメージです。
むやみやたらな間食は避けましょう。
⑪食事に6味をとりいれる
アーユルヴェーダでは、一度の食事で6つの味をとることを推奨しています。6つの味をバランスよくとることで、①アグニを高める②食事の満足度をあげ、暴飲暴食を防ぐ③栄養バランス的にもよくなるからです。

以下が6味の具体例。これらの味、食材をバランスよくとることを心がけましょう。
<6味の具体例>
- 甘味 : 米、小麦、肉、卵、牛乳、さつまいも・かぼちゃ、ナッツ類、砂糖など
- 酸味 :酢、梅干し、チーズ、ヨーグルト、レモンなど
- 塩味 : 塩、漬物、醤油、味噌、昆布など
- 辛味 : 生姜、胡椒、ワサビ、唐辛子、香辛料、にんにくなど
- 苦味 : ほうれん草などの緑葉野菜、苦瓜、ターメリックなど
- 渋味 :豆類、渋柿、緑茶など
⑫機嫌よく過ごす
これ意外と大事な項目です。ストレスや負の感情も消化力をさげる大きな要因となります。
そうそう、食事を苦手な人や嫌いな人と一緒にとるのは、めちゃくちゃ消化力を弱める原因になりますよ~。(だからせめて食事は好きな人と!)
苦手な人と長時間過ごすとそれだけで胃が痛くなったりしたことってありません?
ストレスや負の感情が消化力に影響を及ぼす(ひいては健康も害す)のは、正直な身体が教えてくれていますよね。
自分の好きなことをしたり、好きな人と過ごしたり、気の置けない友人とご飯を食べたり、運動をしたり、ヨガや瞑想をしたり、リラックスできる時間をもって、ご機嫌な状態で日々を過ごすのが消化力の観点からもとっても重要です。
アーユルヴェーダ的消化力(アグニ)を上げる方法まとめ
- 白湯を飲む
- 口にするものは常温以上に
- 腹7~8分の食事を
- 一口30回が目標!よく噛んで食べる
- 消化力(アグニ)を下げる食事を減らす
- 調理仕立てのものを食べる
- 運動をする
- 食事に生姜をとりいれる
- 応用!トリカトゥをとろう!
- きちんとお腹が空いてから食事をとる
- 食事に6味をとりいれる
- 機嫌よく過ごす
この項目の中で、自分の出来るものから一つでも多く日々の食生活に取り入れて頂き、目指せ!消化力アップ!!!
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